いのちについて
宮崎で高病原性鳥インフルエンザウイルス陽性が確認され、養鶏場の鶏約16万8400羽が殺処分の記事が出た。同時に、テレビでは相模原障害施設津久井やまゆり園の悲惨な殺傷事件に関するニュースが流れた。『医学・医療原論―いのち学&セルフケア』で著者は、いのちを地のいのちと図のいのちとに分け、地のいのちと図のいのちの関係を映画のスクリーン(地)と映像(図)に例えている。映画には様々な人生模様(図)が映し出される。しかし、どんな素晴らしい映像もスクリーン(地)の支えを抜きには存在しない。 このふたつのニュースには、現代に共通した“地のいのち”の視点の欠落が内在するといえるかもしれない。
新年の挨拶
新年おめでとうございます。昨年は11月に渡邉勝之・編著『医学・医療原論―いのち学&セルフケア』を出版いたしました。超高齢社会日本では、国家予算100兆あまりに対し、その半分が医療費に充てられ、年々その比重が高くなっています。したがって、医療は確実に予防の重要性に重点が置かれるようになることと思います。ただ、やみくもに医療費削減を叫ぶのではなく、その基盤となる哲学が必要です。今後、医学・医療がどの方向を目指すのか、本書は様々な示唆を与えてくれると思います。 第20回日本統合医療学会が昨年末に仙台で開かれました。様々な医療関連職が集い、患者主体の全人的医療をと唱えていますが、今少し迫力に欠けるのが現実です。すべての職種の垣根を取り払った新しい革袋が必要なのではないでしょうか?